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終活の実践: 突然の別れに備える心と準備

 

私は15年間福祉関係の仕事に従事し、1000人以上の方々と関わってきました。
福祉の現場で培った経験を生かし、行政書士として皆様の終活をサポートすることに力を注いでいます。
人生の最終章をどう迎えるかは、私たち一人ひとりにとって大切な問題です。特に、認知機能の低下や医療面でのサポートが必要な高齢者にとって、生きる意志と医療とのバランスは難しいテーマです。
これからお話しするのは、施設での一つの事例を通じて、終活がいかに私たちの人生にとって重要であるか、そしてその準備において考慮すべき点についてです。

 

最近、私たちの施設で過ごされていたある男性は、日常的に在宅酸素を使用し、認知機能の低下が見られる状況にありましたが、常に穏やかに過ごされていました。
食事も美味しく召し上がり、いつも元気で、趣味の将棋やオセロを楽しんでいらっしゃいました。他の利用者様には、「自分の最後は延命治療は望まない、救命処置もいらない」と話していたそうです。

この男性の最後は、定期通院の翌日でした。
その日、息苦しさに襲われ、看護師の処置を受けながら救急搬送されました。
病院では約1時間にわたる救命処置が行われましたが、夜中であり家族との連絡が取れない状況でした。
幸いにも、本人が望まない延命治療はほとんど行われず、穏やかな最後を迎えましたが、常にそうとは限りません。本人が望まない延命治療が行われ、長期間続く可能性もあります。

葬儀についても同様です。本人の希望がどうであるかは、亡くなった後では確認できません。
生きているうちに家族とのコミュニケーションを通じて、最後の希望を伝えることが重要です。

 

この男性の事例は、終活において事前に準備をすることの重要性を教えてくれます。
そして、その希望を実現させるための重要なステップが、下記になります。

 

医療面での意思表示の明確化

介護施設や家族に対して、本人の医療意向を明確に伝えることが必要です。
これには、延命治療を望まない、尊厳死の宣言など、具体的な意思を文書に記載し、家族に伝えることが含まれます。
文書化された意思表示は、医師が延命治療を行わない判断基準となり、本人の望むような尊厳ある最後を迎えることを支援します。

 

葬儀計画の事前準備

自分の葬儀に関する具体的な計画を立て、それを家族に伝えておくことも大切です。
葬儀で呼びたい人のリスト、連絡方法、納骨の方法などを事前に決め、家族や親しい人に伝えておくことで、ご自身の意思に沿った葬儀を行うことが可能になります。

 

家族との定期的なコミュニケーション

家族との定期的な会話を通じて、現在の健康状態や介護のニーズ、将来に対する思いなどを共有することが重要です。
これは、万が一の事態に備えておくためだけではなく、日々の生活の質を高め、家族間の絆を深める機会にもなります。

 

終わりに

この事例を通して、終活の重要性が明らかになります。
特に、自分の医療意向や葬儀に関する希望を家族に伝え、文書化することの重要性を理解する必要があります。
生前に自分の意思を明確にし、家族とのコミュニケーションを密にすることで、予期せぬ事態が発生した際にも、家族が混乱することなく、故人の望みに沿った行動を取ることができます。

終活は、ただ自分の人生の終わりを準備するだけでなく、家族との絆を深め、お互いの理解を促進する機会でもあります。
今日からでも終活の計画を始め、自分らしい最後を迎えるための準備をしてみましょう。
自分の意思をしっかりと伝え、心に残る最後の時を迎えることが、本当の意味での尊厳ある終わりと言えるでしょう。

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